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Zenohと2024年の展望

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ブルードラゴンプロトコルが目覚ましい進化を遂げている中、ZettaScaleチームは2024年にZenohの新しい機能についてお知らせできることを大変うれしく思っています。

Zenohの研究開発を率いている技術のトップ、Luca Cominardiが来年の開発の予定についてお話しします。アクセスコントロールから改善した共有メモリサポートまで、当社の通信プロトコルはユーザのニーズを満足させるよう、進化し続けています。

Zenoh 1.0.0への道:卒業式リリース

Zenohについて最も期待が多かったアップデートのひとつで、重要なマイルストーンと言えば、来たるリリース1.0.0です。このリリースはZenohの卒業式であり、インキュベーションフェーズから成熟したプロジェクトへの移行を示すものです。当社のチームは、このゴールに向かって尽力してきました。2024年の前半に達成することを目標にしています。このリリースにより、Zenohの成熟が認められ、Eclipseコミュニティから正式な承認印をもらえるでしょう(EclipseCon 2023の要約)。これは、ソフトウェアの進化を目撃し、その成長を助けてきたすべてのユーザに誇りに思って頂ける瞬間です。

取り組み中のZenohの新機能

リリース1.0.0は、当社の課題リストのトップ事項ですが、いくつかの機能についても忙しく作業しています。その多くは、ユーザから直接リクエストされたものや、フィードバックから生まれたものです。Zenoh ユーザが待ち望んでいた2024年の新機能のいくつかをご紹介します。

  • アクセスコントロール

ユーザのセキュリティは非常に重要です。Zenohはアクセスコントロール能力を強化します。TLS相互認証などの基本的認証方法を超えるきめ細かいアクセスコントロールメカニズムを導入します。この新機能で、Zenohネットワークの特定のキーエクスプレッションへの読み出し / 書き出しアクセスをコントロールできるようになります。

  • Async ランタイム:Async-stdからTokioへ

Asyncランタイムとフレームワークに慣れ親しんでいる方に向けて、Zenohのフル導入をAsync-stdからTokioへ変更します。このふたつは数年前から覇権を争っていました。当社は性能面でAsync-stdを選びました。しかし、エコシステムが進化し、Tokioは現在Async-stdと性能面で拮抗し、コミュニティが後押しするより良いエコシステムを提供しています。このシフトにより、テレメトリーやトレーシング、プロファイリングが向上するでしょう。次のリリースにこれを統合できるのをうれしく思っています。

    • Shared MemoryとZero-Copy

Zenohは、すでに Shared MemoryとZero copyをサポートしていますが、現在のところ、一部のトポロジーでのみ作動します。我々の次のリリースのゴールはどんなトポロジーもサポートし、第三者が安全に共有されたメモリプロバイダーを統合できるようにするものです。

  • API Expansion:JavaScript、TypeScript、KotlinおよびJava

当社は、現在JavaScript とTypeScript のAPIを開発中で、Zenohがこれらのブラウザで実行できるようにします。このプランにより、ZenohはWebAssembly(WASM)に適合するようになり、シームレスなブラウザ面での統合が可能となります。また、Kotlin、JavaそしてAndroidのサポートも強化し、アルファステージをよりロバストでネイティブな統合へ向かわせます。当社がこれらの強化策に取り組んでいる理由は、好みの技術スタックが何であっても、より広いアクセシビリティをデベロッパーに提供できるためです。

  • User アタッチメント:メタデータ管理

Zenohは「ユーザーアタッチメント」と呼ばれる機能を導入します。これは、ペイロード全体を再シリアライズしなくてもメタデータをデータポケットに追加できるようにするものです。まず、この機能のサポートは、Rust、C、そしてC++用のものが導入され、その後PythonやJavaなどの他のAPI用のものが続きます。

  • 強化されたプラグイン管理とシステム改善

当社は、ユーザが自分のステータスを効率的に伝えることができるプラグインを書くことを可能にして、様々なプラットフォーム上で管理を簡素化し、特にクライアント側と組み込み装置での性能の改善につなげることができる安定的なプラグイン管理APIを開発するのに注力しています。これにより、デベロッパーが作成するプラグイン上により良いコントロールとビジビリティをもたらします。プラグインステータスを公開し、きめの細かい管理を可能とすることで、Zenohは、プラグイン全体の強化を目指しています。

  • 耐障害性や信頼性についての考察

Zenohは、「NBFT reliability」と呼ばれるエンド・ツー・エンドの信頼性のために新しいメカニズムを導入します。このメカニズムは非ブロッキング型で耐障害性のエンド・ツー・エンドの信頼性を提供することを目的とし、故障が起こったり、ネットワークトポロジーが変わったりしても信頼性の高い通信を可能にします。このメカニズムの詳細は複雑ですが、そのゴールは、Zenohのユーザにより強い形態の信頼性を提供することです。

  • Zenoh-picoのRAW イーサネットサポート

当社のチームは、Zenoh-pico専用のRAWイーサネットサポートを開発中です。このサポートにより、Zenohはイーサネットフレームで直接メッセージを送信できるようになり、オーバーヘッドを削減し、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)との互換性を向上します。このサポートを利用して、ユーザは、自身のネットワークパラメーターをきめ細かく調整し、システム全体のスケジューリングを向上させることができます。

Zenohの革命に参加しましょう

The ZettaScale team working on Zenoh

まだZenoh GitHub レポジトリを体験していないなら、今がその時です。「星」は私たちを満足させてくれるだけではなく、当社のイノベーションと改善の原動力となるサポートの証です。

この先にも、コントローラエリアネットワーク(CAN)のサポートなど、ユーザ様からリクエストされた機能を探求しています。将来のリリースに新しい機能を加えようと検討していますが、今のところ、これらが2024年のZenohの主な新機能です。

Zenohの歩みは、コミュニティのフィードバックと卓越した技術を常に追い求めていきます。画期的な1.0.0のリリース、そしてそれ以降のアップデートにご期待ください。

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著者

ZettaScale

ZettaScaleのミッションは、コネクテッドされたすべての人と機械に、どこでも、どんなスケールでも、効率的かつセキュアに制約を受けずに通信や演算、保存を行う自由をもたらすことです。

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